企業の社会的責任(CSR)を果たすことで得られる7つのメリット
- 企業の社会的責任は、環境・社会・ガバナンスに配慮した持続可能な事業活動を意味する
- CSR活動を通じて企業は良好な企業イメージを構築し、優秀な人材の確保や顧客満足度の向上が期待できる
- 消費者の意識の高まりから、CSRの重要性は今後ますます高まっていく
CSRとは何か?企業と社会の新たな関係性
近年、企業に求められる社会的責任が高まっています。企業が社会や環境に与える影響を無視することはできません。では、CSRとは一体何でしょうか?
1-1. 企業の社会的責任とは
企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility: CSR)とは、企業が事業活動を通じて環境や社会に与える影響を考慮し、ステークホルダー(利害関係者)の期待に応えることです。単に利益を追求するだけでなく、倫理的で持続可能な事業活動を行うことが重要視されています。
重要なポイント
- 事業活動が環境や社会に及ぼす影響を考慮する
- ステークホルダーの期待に応える責任がある
- 倫理的で持続可能な事業活動が求められる
1-2. ESGと企業の持続可能性
CSRの中核をなすのが、ESG(Environment・Social・Governance)への配慮です。環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の側面から持続可能性を追求することが重要とされています。
注目データ
・世界のESG投資残高は2018年の30.7兆ドルから2020年には35.3兆ドルに増加(出典: Global Sustainable Investment Review 2020)
・日本のESG投資残高は2016年の8.7兆円から2020年には310兆円に急増(出典: 日本サステナブル投資レビュー2020)
CSRに取り組む意義と効果は?
CSRへの取り組みは、単なる社会貢献以上の意味を持っています。企業にとってもさまざまなメリットがあるのです。
2-1. 企業イメージの向上と人材確保
CSR活動を積極的に行うことで、企業は良好な企業イメージを構築できます。環境や社会に配慮する姿勢が評価され、消費者の支持を得やすくなります。また、優秀な人材の確保にもつながります。社会的責任を果たす企業は魅力的な職場として認識されるためです。
事例紹介: パタゴニアの取り組み
アウトドア用品メーカーのパタゴニアは、環境保護活動に熱心に取り組んでいます。使用済み製品の回収・リサイクルに加え、売上の1%を環境保護団体に寄付しています。こうした取り組みが高く評価され、多くの優秀な人材を惹きつけています。
2-2. 顧客満足度の向上とリスク回避
CSRへの取り組みは、顧客満足度の向上にもつながります。消費者の意識が高まる中で、環境や社会に配慮した製品・サービスが求められています。また、企業不祥事を未然に防ぐことで、ブランドイメージの失墜や経済的損失のリスクを回避できます。
実践のヒント
CSRを単なる社会貢献活動と捉えるのではなく、企業価値向上の重要な手段と位置付けましょう。
- CSR活動を経営戦略に組み込む
- ステークホルダーとの対話を重視する
- 社内外に向けて積極的に情報発信する
CSR活動の実践方法と事例
CSRを実践するには、さまざまな取り組みが考えられます。製品・サービスの提供から社会貢献活動まで、幅広い分野で実践できるのがCSRの特徴です。
3-1. 環境に配慮した製品・サービスの提供
製品のライフサイクル全体で環境負荷を低減することが重要です。原材料の調達から生産、使用、廃棄に至るまで、環境に与える影響を最小限に抑える必要があります。再生可能エネルギーの活用や省エネ製品の開発など、さまざまな取り組みが可能です。
事例紹介: アップルの取り組み
IT企業のアップルは、製品の環境負荷低減に力を入れています。リサイクル素材の活用や製品の長寿命化、再生可能エネルギーの導入など、さまざまな施策を実施しています。2030年までに製品ライフサイクル全体で炭素排出量を実質ゼロにすることを目指しています。
3-2. 社会貢献活動と地域コミュニティへの支援
企業は地域社会の一員として、様々な社会課題の解決に貢献することが期待されています。教育支援、災害復興支援、スポーツ振興など、企業の特性を活かした取り組みが求められます。地域コミュニティとの対話を重視し、ニーズに合った活動を行うことが大切です。
事例紹介: ユニリーバの取り組み
総合消費財メーカーのユニリーバは、衛生環境の改善に取り組んでいます。開発途上国における手洗い習慣の普及活動や、安価な石鹸の提供を行っています。また、製品の一部収益を衛生施設の建設に充てるなど、事業を通じた支援も実施しています。
このように、企業の社会的責任は広範囲に及びます。CSRを経営の中核に据え、環境・社会・ガバナンスの側面から持続可能な事業活動を追求することが重要です。
参考文献・引用元
- Global Sustainable Investment Review 2020 Global Sustainable Investment Alliance 2021
- 日本サステナブル投資レビュー2020 日本サステナブル投資フォーラム 2021