認知行動療法(にんちこうどうりょうほう)

認知行動療法は、人間の「認知」(思考のパターン)と「行動」の関係性に着目した心理療法です。私たちの感情や行動は、物事の受け止め方(認知)によって大きく影響を受けます。ネガティブな思考パターンを修正することで、問題行動や不適応な感情を改善できると考えられています。

関連用語と表現

認知行動療法は、クライアントの認知的歪みや機能的でない信念を特定し、それらを修正することで問題行動を改善しようとします。具体的なテクニックとして、認知リストラクチャリング(思考パターンの書き換え)、行動活性化、エクスポージャー療法などがあります。

この療法の利点は、比較的短期間で効果が現れること、科学的根拠に基づいていること、構造化されたアプローチで実践しやすいことなどが挙げられます。一方で、深い心理的問題には対処しにくい面もあります。

「認知行動療法」の具体例

例1: 社会不安障害に悩むAさんは、人前で緊張するたびに「私は馬鹿で無能だ」と過剰に否定的に考えていました。認知行動療法を通じて、そうした偽りの信念を認識し、新しい合理的な解釈を身につけることで、社会不安を軽減することができました。

【解説】認知のゆがみを修正することで、不安を和らげています。

例2: 摂食障害に悩むBさんは、「痩せなければ価値がない」という偏った思い込みから、過度の食事制限をしていました。認知行動療法によって、そうした有害な認知を解体し、バランスの取れた食生活と自己肯定感を育むことができました。

【解説】偏った認知を修正し、行動の改善につなげています。

認知行動療法は、構造化されたアプローチで実用的な効果が期待できる一方、根深い心理的問題への対処には限界もあります。今後は他の心理療法と組み合わせるなど、より包括的なアプローチが模索されていくでしょう。

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