多層防御(たそうぼうぎょ)

多層防御は、組織のセキュリティを強化するために複数の異なる防御手段を段階的に配置する戦略的アプローチです。一つの防御策が突破されても、他の防御層が機能することで全体のセキュリティを維持し、攻撃者の侵入を阻止または被害を最小限に抑えることを目的としています。現代のサイバー脅威が高度化・複雑化する中で、企業や組織にとって不可欠なセキュリティ戦略として広く採用されています。

関連用語と表現

多層防御の基本概念は「Defense in Depth(ディフェンス・イン・デプス)」として知られており、軍事戦略から発展したセキュリティ思想です。この手法では、ネットワーク境界、エンドポイント、アプリケーション、データなど、異なるレベルでの防御策を組み合わせます。 具体的な防御層には、ファイアウォールやIDS/IPSによる境界防御、アンチウイルスソフトによるエンドポイント保護、多要素認証による認証強化、データ暗号化、従業員へのセキュリティ教育などが含まれます。これらの要素が相互に補完し合うことで、単一の防御策では対処できない脅威にも効果的に対応できます。 また、多層防御では予防だけでなく、検知・対応・復旧の各段階においても複数の手段を用意することが重要です。攻撃を完全に防ぐことが困難な現代において、被害を早期に発見し、迅速な対応により影響を最小限に抑える体制の構築が求められています。

「多層防御」の具体例

例1: 金融機関では、ネットワーク境界のファイアウォール、DMZの設置、Webアプリケーションファイアウォール、データベース暗号化、生体認証、従業員の定期的なセキュリティ研修を組み合わせた多層防御を実装している。

【解説】各層が異なる脅威に対応し、一つが突破されても他の層で防御を継続する仕組みです。

例2: 製造業の工場では、OTネットワークの物理的分離、産業用ファイアウォール、異常検知システム、アクセス制御、定期的な脆弱性診断を実施し、サイバー攻撃から生産システムを保護している。

【解説】IT環境とOT環境の特性を考慮した、業界特有の多層防御戦略の実践例です。

多層防御は、進化し続けるサイバー脅威に対抗するための基本的かつ重要な戦略です。今後はAIや機械学習を活用した自動化された防御システムの統合や、クラウド環境に適応した新しい防御層の構築が重要になると予想されます。組織の規模や業種に関わらず、適切な多層防御の実装が持続的なセキュリティ確保の鍵となるでしょう。

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