信頼性の高い分析結果を得るためのデータ品質管理 ~R言語で実践する欠損値・外れ値検出とデータ型変換~
- データの品質管理は、信頼性の高い分析結果を得るための重要な要素です。
- R言語には、データの前処理や品質チェックを行うための強力なツールが揃っています。
- データの品質を継続的に監視し、問題があれば迅速に対処することが大切です。
データ分析の信頼性を左右する?データ品質管理の重要性
データ分析の結果は、分析に使用するデータの品質に大きく左右されます。不備のあるデータを使えば、分析結果も信頼性に欠けるでしょう。データの品質を管理することは、信頼できる分析結果を得るための大前提なのです。
データ品質管理とは、データに不備がないかをチェックし、必要に応じて修正や加工を行うプロセスを指します。データには様々な不備が潜んでいる可能性があり、これを見逃せば大きな影響を及ぼします。
不備データによる分析結果の歪み
不備のあるデータを分析に使うと、結果が大きく歪む恐れがあります。例えば、欠損値や外れ値が含まれていると、平均値や相関関係が本来の値から大きくずれてしまいます。また、データ型が適切に設定されていないと、文字列や日付を正しく処理できません。
事例紹介: 誤った販売予測
ある小売店のデータを使って販売予測を行ったところ、実際の販売数値と大きな乖離が生じました。原因を調査したところ、一部の店舗で欠損値が含まれていたことが判明。欠損値を除外せずに予測を行ったため、結果が歪んでしまったのです。
この事例のように、不備があるデータを使えば、分析結果に大きな影響を与えかねません。
データ品質管理のプロセス
データ品質管理のプロセスは、大きく分けて「品質チェック」と「データ加工」の2つのステップから成ります。
- 品質チェック: 欠損値、外れ値、データ型の不整合などを検出する
- データ加工: 検出された不備に応じてデータを修正・加工する
重要なポイント
- データに不備がないかを確認する
- 不備があれば適切に修正・加工する
- データ品質管理は分析の前提条件
R言語でできるデータ品質管理
データ分析に広く使われているR言語には、データの品質管理を行うための強力なツールが揃っています。ここでは、欠損値・外れ値の検出とデータ型の検証・変換について解説します。
欠損値や外れ値の検出
R言語では、is.na()
関数やwhich()
関数を使って欠損値を検出できます。また、boxplot.stats()
関数やquantile()
関数を使えば、外れ値も簡単に見つけられます。
実践のヒント
欠損値や外れ値が含まれているデータを分析に使うと、結果が歪んでしまう恐れがあります。
- まずは欠損値や外れ値の有無を確認する
- 欠損値や外れ値が見つかった場合、適切に処理する
- 欠損値は削除、平均値で補完、など
- 外れ値は削除、上下限値に置き換え、など
データ型の検証と変換
データの型が適切に設定されていないと、分析時に予期せぬ動作が起こる可能性があります。R言語のstr()
関数やsapply()
関数を使えば、データ型を確認できます。型が適切でない場合は、as.numeric()
関数やas.character()
関数などで変換できます。
注目データ
・Rのis.na()
関数は欠損値を論理値で返す
・boxplot.stats()
関数は外れ値の上下限値を計算できる
・str()
関数はデータフレームの構造と型を表示する
データ品質を継続的に監視する
データは常に変化しているため、一度品質を確認しただけでは十分ではありません。継続的にデータの品質を監視し、問題が発生した際には迅速に対処する必要があります。
品質チェックの自動化
データの品質チェックを自動化することで、継続的な監視を効率的に行えます。Rにはassertr
やvalidate
などのパッケージがあり、これらを使えばデータの品質をコード化して自動チェックできます。
効果的な方法
データの品質チェックはできるだけ自動化すべきですが、単にコードを書くだけでは不十分です。
- 品質基準を明確に定義する
- 基準に基づいてチェックルールを作成する
- ルールをコード化し、自動チェックを実装する
- 定期的にチェック結果を確認する
問題発生時の対処法
品質チェックで問題が見つかった場合、迅速な対処が重要です。原因を特定し、適切な方法でデータを修正・加工する必要があります。また、問題の再発防止策も検討しましょう。
押さえておきたい点
- データの品質は常に変化する
- 定期的な品質チェックが不可欠
- 問題発生時は迅速に対処する
- 再発防止策を検討する
参考文献・引用元
- Data Quality: The Other Baseline of Data Science O’Reilly Media 2018
- R for Data Science Hadley Wickham and Garrett Grolemund 2017